凡そ10年前より始まったフレキシブルエレクトロニクスは今や各国で研究され、フォルダブルなスマートフォンやディスプレイなどが上市されています。しかしながら、金属電極膜と基板の接合といった技術の信頼性には改善の余地があります。
Leoben市にあるErich-Schmid-Institutof Materials Science(ESI) の副所長、Dr. Megan Cordillが率いる研究チームは、金属とポリマーから成る構造体の電気的機械的特性を調査しました。金属電極膜とポリマーフィルムの界面をどの様に調整するかが弾性変形を確保する上で重要な要素となります。
Dr. Cordillと、Montanuniversität Leobenの機能材料・材料システム工学の教授であるChristian Mittererが指導する研究チームは、高分解能電子顕微鏡と分光法を用いてフレキシブルエレクトロニクス用材料の接合強度を測定することに成功し、材料の構造と組成の調整を進めてきました。これが、ポリマーから金属電極膜への遷移に必要な技術の基礎となりました。
この研究プロジェクトは、オーストリア科学アカデミー(OeAW)のErich-Schmid-Institut of Materials Science(ESI)、Leoben大学の材料科学学部、およびPlansee社による共同研究でした。PlanseeのPVDラボでは共同研究へのフィードバックを行う為に多くの試験が行われ、フレキシブルディスプレイ用の金属電極膜の有望な新素材として弾性力の高いモリブデン合金を開発するに至りました。
このプロジェクトは、オーストリア研究促進庁 (FFG)から3年間にわたり資金提供を受け、現在はHouska賞の「大学の研究」部門で第2位に評価されています。同賞は、応用研究に与えられるオーストリア最大の賞で、B&C Private Foundationから毎年授与されます。また、その選考に際しては各分野のエキスパートで構成される審査委員会により、計60の候補プロジェクトから2段階のプロセスを経て選ばれています。
“Unbreakable Flexible Electronics” プロジェクトの詳細は、こちらのビデオをご覧ください。: https://bcgruppe.at/project/unzerbrechliche-flexible-elektronik/